英語多読で子どもの英語力はどう育つ?4年間の保護者アンケートから見えた「聞く・まねる・読む・自分で使う」への成長

英語をたくさん読めば、本当に英語力は伸びるのでしょうか。

Brave Kidsでは、小学生を中心とした子どもたちが英語の漫画を使った多読・多聴学習に取り組んでいます。

英語多読を始めると、子どもたちは次のような変化を見せてくれます。

  • 英語を聞いて意味が分かるようになる
  • セリフをまねして言えるようになる
  • 少しずつ自分の力で読めるようになる
  • 知っている単語を自分から使うようになる
  • 自分で英文を組み立てて話せるようになる

こうした変化は、どのように生まれているのでしょうか。

Brave Kidsでは2022年から保護者アンケートを継続して実施してきました。今回、2022年から2026年までのアンケートを改めて整理しました。回答数はのべ57名、そのうち複数年にわたって回答を追うことのできた11名についても、詳しく分析しています。

そこから見えてきたのは、多読学習により「読む力」が伸びるだけではなく、聞く・まねる・読む・自分で使うという方向へ広がっていく姿でした。

※本調査はBrave Kidsが受講家庭を対象に実施したアンケートであり、小学生全体を代表するものではありません。また、英語力テストによる測定ではなく、保護者が感じた子どもの変化を尋ねたものです。

この記事でわかること

  • 多読により子どもの英語力が伸びる「順番」
  • 多読と並行して実施すべき英語学習
  • 学習期間別(6か月未満/18か月以上)で見える変化の違い
  • 家庭学習を「自分からやる子」でなくても続けられる理由

最初に見えやすいのは「聞く・まねる」。そこから「読む・自分で使う」へ

今回、複数年の回答を比較して特に興味深かったのが、保護者が「伸びた」と感じる力の内容が学習期間によって変化していくことでした。

英語の多聴・多読学習を始めて比較的早い段階では、

  • 英語を聞いて分かるものが増えた
  • 短いセリフをリピートできるようになった
  • シャドーイングができるようになった

といった、聞く・まねる力の変化が目立ちます。

▼学習期間6か月未満の子どもが、今年になってついたと感じる力のランキング

一方、英語多読の継続期間が長い子どもたちでは、

  • 読める単語が増えた
  • 一人で漫画を音読できるようになった
  • 自分から使える語彙が増えた
  • 主語+動詞などを使って簡単な文を作れる
  • 文法を意識して話せる

といった変化が多く見られるようになります。

▼学習期間18ヶ月以上の子どもが、今年になってついたと感じる力のランキング

もちろん、すべての子どもが同じ順番で成長するわけではありません。ただ、4年間の回答を並べてみると、次のような成長のイメージが浮かんできます。

多読による英語力の成長イメージ

聞く力やまねる力といった基礎力を土台にしながら、そこへ読む力や、自分で英語を組み立てる力という応用力が積み重なるという、語学習得における理想的な順序で成長していることがわかりました。

これは従来型の文法学習を中心とした英語教育では見られなかった順序です。

Brave Kidsでは、初期段階では「基礎語彙の習得」「フォニックス」「2〜3語の組み立て」などを中心に取り組み、レベルが上がるにつれて「音の連結練習」「長文スピーチ」「応用的な文法や語法」などへ学習内容を広げています。長期間学習を続ける中で、多読教材を半暗礁して読めるようになり、スピーキング時の文法・構造の正確性を高めていくことを目指しています。

英語力を伸ばしていたのは「多読だけ」ではなかった

今回、もう一つ強く感じたのが次のポイントです。

Brave Kidsでは「英語多読」を学習の中心にしながらも、多読以外の学習コンテンツも提供しています。保護者が「効果を感じた」と回答している学習を見ると、多読だけではありませんでした。

▼効果を感じる Brave Kids の学習コンテンツのランキング

複数年追跡できた11名の最終回答では、

  • 語彙学習
  • スピーチ課題
  • シャドーイング
  • フォニックス
  • コーチのフィードバック
  • 読み聞かせ

など、複数の学習項目について効果を感じたと回答いただきました。

これはBrave Kidsの学習設計を考えるうえで、とても重要な結果でした。

私たちは現在、「多読をすることそのもの」だけではなく、多読する物語の中に出てくる重要な英語要素を、一度取り出して理解し、練習し、再び物語の中で使うことを大切にしています。

読む前に「物語の中の重要な英語」をいったん取り出して学ぶ

Brave Kidsでは毎週、オリジナルの学習動画を配信しています。

たとえば実際の学習動画では、最初にその週の物語に登場する語彙を学習します。対象となるのは、

  • 名詞
  • 動詞
  • 形容詞

などです。それぞれ、お手本の音声とイラストを見ながら学んでいきます。

学習動画で使用している「なまえことば(=名詞)」教材の一例

さらに、日常でよく使う便利なフレーズも、物語から切り出して声出し練習をしていきます。

学習動画で使用している「フレーズ」教材の一例

「なんとなく分かる」で終わらせず、文法も整理する

多読の良いところは、文法を説明されなくても、何度も同じ構造の英文に触れる中で感覚的に体得していける点です。

しかし一方で、物語を読むだけでは、「なぜこの形になるのか」まで気付けない子もいます。

そこでBrave Kidsでは、物語に出てくる文法事項をいったん切り出して整理します。

  • 語順のルール
  • 三人称単数や各種時制による動詞の操作
  • 否定文や疑問文の組み立て方

など、主に中学3年間で学ぶ英語の基礎を成す文法事項を中心に、小学生にもわかる易しい解説動画で、何度も繰り返し見てもらえるよう設計しています。

物語の中で自然な英文に大量に触れるだけでなく、その英文の中にあるルールにも折に触れて意識を向けてもらう、このバランスが重要だと考えています。

これは、多読と文法学習を対立させない、Brave Kidsの大きな特徴の一つです。

フォニックスも、実際に読む物語の単語と結びつける

同じように、フォニックスも単独の知識として終わらせません。

学習の中では、まずアルファベットの音を確認します。そのあと、girl、old、play、howなど、多読教材の中に出てくる単語を使って「つなげて読もう」という練習をしています。

こうして、語彙やフレーズ、文法やフォニックス、と事前に切り出した内容を学習したあとに、いよいよ物語を読みます。

  • セリフを指でなぞりながら
  • お手本を追いかけるように、少し遅れて言ってみよう

という形のシャドーイング練習です。

つまり1回の学習の中で、

というステップで、多面的に学習する多読カリキュラムなのです。

形を変え、何度も知識と再会することで身につける

たとえば、事前学習で「forget=忘れる」という単語を覚えたとします。単語帳だけで暗記して終われば、forget=忘れるという一対一の知識のままで終わってしまうかもしれません。

しかし、その後に漫画を読むと、登場人物がforgetという単語を実際に使って会話をしています。子どもはforgetの音声を耳で聞き、forgetが登場するセリフをシャドーイングして声に出します。

次のマンツーマンセッションでは、コーチからforgetの意味についてクイズを出されることもあります。さらに、forgetが使われていた漫画の場面について、英語で説明する練習をすることもあります。

こうして、forgetという一つの単語は、

①知識として覚えた英語

②物語の中で意味を理解する英語

③自分の口から出す英語

というように、同じ単語であっても触れるたびに姿を変えながら、くり返し使われていくことになります。

今回のアンケートでも、

  • 「聞いて分かる語彙が増えた」
  • 「読める単語が増えた」
  • 「自分で言える語彙が増えた」

という複数の変化が同時に挙げられていました。こうした学習の流れと関係しているのではないか、と私たちは考えています。

ただし、この結果だけで「この学習方法が語彙力向上の直接の原因である」と証明できるわけではありません。因果関係の検証は、今後も継続して取り組んでいきたいテーマです。

「まねる」から少しずつ「自分で読む」へ

学習を始めたばかりの子には、まず音声を聞きながらシャドーイングをしてもらいます。最初から英文を一人で読ませるわけではありません。

基礎的なフォニックスが少しずつ身についてきた段階で、一人音読をスタートします。最初から物語全体を読ませるのではなく、まずは物語の最後の1ページだけを自力で音読するところから始めます。

それが楽に読めるようになったら、1ページ→2ページ→3ページ→エピソード全体というように、読める範囲を少しずつ広げていきます。

この「まねる(シャドーイング)」から「自分で読む(一人音読)」への段階的な移行は、今回のアンケートから見えた「まねる」→「読む」という変化とも一致しています。

読めるようになったら、次は「Look Up音読」

Look Up音読とは、英文を目で追いながら声に出す音読とは異なり、セリフを一度見て内容を頭に入れたあと、顔を上げて(look up)その内容を自分の言葉のように口に出す練習方法です。

物語の全文を、高い精度でスムーズに一人音読できるようになった子どもには、次のステップとしてこのLook Up音読へ進んでもらいます。

具体的には、セリフを一度見て、顔を上げて言う。また次の英文を見て、顔を上げて言う。という流れをくり返します。

これによって、単なる「文字を音に変える作業」から、英文をある程度まとまりとして頭の中に保持しつつ、構造や文法に意識を向けながら口に出す作業へと移っていきます。読む力と話す力の間をつなぐ、重要な練習の一つです。

さらに「自分の英文を作る」スピーチへ

もう一つ大きなステップが、スピーチ課題です。

Brave Kidsでは、漫画の指定された場面を見ながら、「誰が何をしているのか」を英語で説明してもらいます。学習開始から2〜3か月ほど経ち、学習が軌道に乗った段階で始めるステップです。

進め方は、2段階に分かれています。

  • 最初:現在形・現在進行形を使った「イラスト描写」(今、この場面で何が起きているかを説明する)
  • 慣れてきたら:過去形を使った「ストーリーテリング」(この場面で何が起こったのかを、時系列で説明する)

ここまで来ると、漫画のセリフを覚えて言うのではありません。漫画で学んだ語彙や文法を材料に、自分で英文を組み立てることになります。

今回のアンケートでも、長期受講者になるにつれて、「自分で言える語彙」「主語+動詞で文を作る」「文法を意識して話す」といった変化が多く挙げられていました。

毎週のフィードバックで、その子に必要な力を補う

もう一つ、アンケートで多くの保護者が効果を感じていたのが、コーチによるフィードバック動画です。

Brave Kidsでは、多読練習の様子やスピーチ課題の動画をコーチが確認します。そのうえで、その子特有の課題や、次に伸ばしたいポイントを選んでフィードバックする仕組みです。

指導内容は一律ではありません。たとえば、

  • 発音
  • 音の連結
  • フォニックス
  • 2〜3語の組み立て
  • 短文の組み立て
  • 長文の組み立て
  • スピーチ
  • 文法

といった項目の中から、その子に必要なものを取り上げます。

同じ物語を読んでいても、Aさんには発音、Bさんにはフォニックス、Cさんには英文の組み立て、Dさんには文法というように、次に伸ばすべきポイントは子どもによって異なります。

一般的なオンライン英会話のように、ダイアローグを読みあったり、英語で自由に話し合うようなレッスンでは掴みきれない、一人一人の課題に細やかにフォローできる点が、フィードバック動画による指導の強みです。

25分セッションでは、「知っている英語」を実際に使う

マンツーマンの個別指導も、多読学習の一環として実施しています。

直近で多読した物語を使って、

  • 語彙クイズ
  • フォニックス・スペリング
  • セリフ探し
  • シーン探し
  • 記憶力クイズ

などを行い、すでに学んだ内容を思い出しながら、対面で実際に使う練習をしていきます。

動画での知識学習、シャドーイング練習、スピーチ課題、コーチからのフィードバック動画、とそこまでに様々な形でインプット・アウトプットのトレーニングを重ねてきたものを、実践的に活用してみる場です。

こういった場があるからこそ、「毎日の家庭学習の効果が出せた!」「コーチに褒められて嬉しい!」「また明日からも家庭学習を頑張ろう!」というサイクルが回っていきます。

Brave Kidsが考える「多読+α」の学習サイクル

今回のアンケートと実際の学習内容を合わせて整理すると、私たちは現在、次のような学習サイクルが子どもの英語力を支えているのではないかと考えています。

  • STEP 1 物語を理解する準備(語彙・便利フレーズ・文法・フォニックス)
  • STEP 2 大量の自然な英語に触れる(読み聞かせ・多聴・シャドーイング)
  • STEP 3 自分で読める範囲を広げる(一人音読)
  • STEP 4 英文をまとまりで処理する(Look Up音読)
  • STEP 5 学んだ英語を組み替える(イラスト描写・スピーチ・ストーリーテリング)
  • STEP 6 実際のコミュニケーションで使う(25分セッション・English Onlyタイム)

この6つのステップは、それぞれ独立した練習ではありません。STEP 6まで進んだら終わりではなく、そこで得た気づきを土台に、また新たな多読素材で再びSTEP 1へ戻っていく、くり返しのサイクルです。

そして、このSTEP 1からSTEP 6のすべての段階に、コーチによる個別フィードバックが入ります。同じ物語を読んでいても、発音が課題の子には発音のフィードバックを、文法が課題の子には文法のフィードバックを、というように、その子に合わせて内容を変えています。

私たちは、「多読か、文法か」「インプットか、アウトプットか」という二者択一では考えていません。豊富なインプットを中心に置きながら、必要な知識を整理し、それを何度も使ってアウトプットにつなげること。これが重要なのではないかと考えています。

家庭学習でもう一つ分かったこと――「自分からやる子」でなくても続けられる

そして今回のアンケートからは、英語力とは別に、家庭学習についても興味深い結果がありました。

▼週に何日家庭で英語学習ができているか

2026年にアンケートに回答した23名のうち、13名が週5日以上、英語学習に取り組んでいました。

ところが、その13名にさらに注目すると、11名が「自分から取り組めない・親の声掛けが必要」と回答しています。

▼英語家庭学習の習慣化で難しいと感じることのランキング

つまり、週5日以上英語を続けている子どもの多くが、必ずしも毎日自分から英語学習ができているわけではないということです。

なお、この傾向は単年のデータに限りません。2022年から複数年にわたって追跡できた11名(※前述の13名とは別の、長期継続グループです)についても、最終調査時点で8名が「声掛けが必要」と回答しています。

単年・複数年、どちらの視点で見ても同じ傾向が見えたことは、私たちにとっても重要な発見でした。

「自走できるようになること」を成功条件にしなくてもいい

子どもの家庭学習について、「やる気が見えない」「いつになったら自分からやるようになるんでしょうか」という相談を受けることがあります。

もちろん、やる気を持って自分から取り組めるようになるのは理想的です。ただ、今回のアンケートで見えたのは、親から声を掛けてもらいながら、できる日もできない日も受け入れつつ、完璧を目指さず長く継続し、その中で英語力を伸ばしている子どもの姿です。

考えてみれば、日本人の子どもたちは「日本語が話せるようになりたい!」という強い気持ちで日本語を習得したわけではないと思います。好む好まざるに関わらず、毎日「日本語」が身の回りに存在したから習得できたはずです。

英語を必要としない日本に暮らしながら、将来への想像力もまだ未熟な子どもたちが、毎日高いモチベーションで英語に取り組むということは、ほぼないと考えてもいいかもしれません。

だからこそ、子どもの「やる気」を英語学習の条件にする必要はないと考えています。

たとえやる気があまりないお子様でも、

  • 家庭での声掛け
  • 負担の少ない動画学習
  • 毎週の課題
  • コーチへの提出
  • コーチからのたくさんの褒め言葉
  • 定期的なマンツーマンセッション
  • オンラインイベント

といった仕組みをうまく使いながら、できる時とできない時の波を受け入れ、細く長く継続することも、一つの学び方なのだと感じる結果でした。(それを支えてくださっている親御様達の日々の頑張りの賜物でもあります!)
と同時に、スクールとして、今後お子様たちが少しでも前向きに、日々の学習を苦痛なく進めていただけるようもっともっと工夫をしよう、と気持ちを新たにしました。

まとめ――多読を「読むだけ」で終わらせない

今回、4年間の保護者アンケートを整理して改めて見えたのは、「第二言語習得」という複雑で難易度の高い挑戦に対し、子どもたちが見せてくれている多面的な成長の姿でした。

最初は聞く。まねをする。少しずつ読めるようになる。そして、覚えた英語を自分で使い始める。

その成長を支えているのも、「たくさん読む」という一つの方法だけではありません。

  • 語彙・文法・フォニックスで、知識を整理する
  • 多読・多聴・シャドーイングで、たくさんの英語に触れる
  • 一人音読・Look Up音読・スピーチで、自分の声に出す
  • 個別フィードバックや英会話で、実際に使う

これらが、それぞれ独立してではなく、相互につながりながら子どもの英語力を支えています。

Brave Kidsではこれからも、保護者アンケートや子どもたちの学習データを継続的に蓄積し、子どもがどのような過程を通って英語を習得していくかを検証し、日々の学習サポートに活かしていきたいと考えています。

▼小学生から多読を初めるなら▼

著者のイメージ画像

Brave Kids/代表兼ヘッドコーチ
上村綾子

ニューヨーク州立大学心理学部卒業。大人向け英会話講師、オンライン教材開発、英語コーチングのカリキュラム開発など、長年にわたり英語教育の最前線に従事。著書に『Ayaのリアルトークリスニング』(小学館)、制作・出演を務めたポッドキャスト『English Aya Pod』(iTunes Podcast総合ランキング1位)、大人向けポッドキャスト『学ぶ大人応援ラジオ』など、メディアを通じた発信実績も多数。 現在は、子ども向けオンライン英語スクール「Brave Kids」の運営に加え、学習の習慣化を支援する「勉強継続コーチング StudyHabit」立ち上げに従事するなど、英語力と心理学の知見を掛け合わせた多角的な教育事業を展開。